ベットサイドに並べられた愛すべきお酒たち。
値上げが続いてしばらく購入を見合わせていた、メーカーズマークが戻ってきた。
トレードマークの赤い封蝋を開封して、グラスに注ぐ。
トクトクトク・・・と心地よい音が伝わる。
上品で優雅な甘い香り。
不定期ながら、更新していった日記。
タイピングしている間に氷が溶けてウイスキー・フロートが出来ている。
一日の終わりに。
悪夢の様なあの日からしばらくして玄関先の花が咲き始め、ここ10年位で一番の花を咲かせた。
壊れかけた家の中から少しづつ必要なものを運び出した。
花が全て散ってしまった頃、家の解体時期が決まった。
玄関先のツツジも新たな場所に植え直し、これをもって全ての作業が完了した。
先日から業者による家屋内のモノの分別が始まった。
あと何日かのうちに重機による本格的な解体が始まるだろう。
梅雨が明けてから、暑い日が続いている。
全ての窓とドアを外された家の中に心地よい風が通っていく。
あとしばらくしたら壊されてしまうなんて嘘のよう。
家 / ユニコーン
役所の人が現れて 親父と何か話してた
僕らの家はじゃまになるらしい
これで道路も広くなる 町のためさしょうがない
新しい家に住めることだし
僕らの家が新しくなる
僕らの家は新しくなる
生まれる前からここにある 昔は何色だったの
ボロボロだからみんな捨てようか
いすも机も柱も壁も
僕らの家は新しくなる
僕らの家が新しくなる
僕らの家が新しくなる
いすと机と柱と壁と
僕らの家はアスファルトの下
見知らぬ場所に座ってる 慣れないドアのそいつは
コンクリートでじょうぶな奴だよ
関心空間が終わってしまう・・・
インターネット上の思い出の品はどうやって運びだせばいいの
新しい住まいはどうすればいいの
今までの思い出はどうなってしまうの
みんなとのお別れの挨拶はどうすればいいの
子どもの頃、集団登校で使っていた神社。
寒い朝は、近所のおじさんに焚火をお願いして、その中に小石を投げ込んだ。
熱くなった小石をハンカチに包んで、カイロ代わりにしてポケットに突っ込んだ。
かくれんぼに、ビー玉はじき。
正月近くになるとコマを回して遊んだ。
子どもの社交場だった神社。
鳥居を背にして小石を投げて上に乗ったら、その日は一日良い事があるとみんな信じていた。
散らかった部屋の中から、必要なものを持ち出してやった。
必要ではないけど、思い出があるものも持ち出した。
三島由紀夫に谷崎潤一郎も連れ出してやりたいが、見つからなかった。
もう、そう時間も残されていない。
全ては持ち出せない、ノアの箱舟の様なもの。
連休の合間に友だちを誘ってサイクリング。
数時間走ったら、何もなかったように平和な日常がある。
食事を済ませ、木陰の下の石のベンチに横たわって昼寝をする。
5月の風は心地よい。
木漏れ日の先にひこうき雲が見える。