秋の気配

早起きして山に出かけた。

一人で行くきままな旅。

私が住んでいる町はまだまだ残暑が厳しいが、山はすでに秋の装い。

以前登った山だけど、ルートが変わると見せる表情も全然違う。

山頂はすごいスピードで雲が流れている。

一枚岩の上に寝そべって空を眺めていた。

(ついでだし、となりの山も登ろう、尾根づたいでいけるだろう・・・)

そう思って歩き出したが、予想に反して登り初めの高さまで降りてきてしまった。

さきほど登ると心に決めた山は目の前にあるけれど、急勾配で見るからに辛そう・・・。

「若いんだから、いってらっしゃい」

尻込みしている私を見て諭したのか、となりで休憩されていた白髪のご婦人の声をかけられる。

(確かに貴方から見れば息子ぐらいに歳に見えるだろうけど・・・)

結局ご婦人の言葉に背中を押される感じで登り始めた。

しかし急勾配で足場も悪い。

上昇していく脈を鼓膜から感じる。

10分もしない内に後悔する。

(下からも見えているだろう、振り返らずに前に進もう)

頂から下を見下ろすと先ほどのご婦人は別のルートへと発たれた後だった。

頂上の岩によじ登り、昼食を済ませた後同じルートを下る。

滑りやすい道を前に登りの時以上に難儀する。

あっけなくスッテンコロリン。。

ワレモコウが咲いていた。

秋の気配の画像