本屋

列車に乗って隣りの町にやってきた。

ここは再開発があまりされてなく、昭和の感じがかなり残っている。

放置されて朽ちてしまった建物も多い。

そんな町並みの中で、新しい建物も混在していたりするので、不思議な感じになる。

 

しばし町を散策して目的のお店に着いた。

ビルの片隅にひっそりとお店はあった。

扉を開けると、小さめの店内にたくさんの本と、様々のオブジェが飾られていた。

椅子が4脚あって、お客は二人組の女性と、若い男性が一人、本を読んでいた。

奥から店主が現れて、お店のシステムを説明してくれた。

1時間ワンドリンク付きで、お店の本が全て見れるようだ。

目の前の棚の上には、沢山の写真集が積まれている。

事故で亡くなった人の写真集、シャム双生児の写真集、自殺した人の写真集、重症精神病者病棟の写真集、戦争で亡くなった人の写真集・・・etc。

店主が一冊づつ、全て説明してくれた。

写真集を2冊手に取って椅子に腰かけ、昔のサーカス小屋の写真集を眺めながら、マスカットジュースを口に運んだ。

 

しばらくしたら、店主が若い女性客に、店内の展示品の説明を始めた。

本物の髪を使って作られた人形、人の大腿骨で作られたラッパ、目玉が左右に動く人形、動物の脳味噌を食する時に使う匙・・・etc。

奥から持ってきた包みの中身は、人の皮をなめした表紙の聖書、300年前の物だと仰ってる。

説明を聞いていた女性は、この聖書を見る為に石川県からやってきたと言った。

 

私も一様に説明を受けたが、エログロの不快な感覚はあまり無い。

ただ人間が持つ好奇心と、なんとなく秘められた空間の感じが心地よい。

やはり、ここは不思議で楽しい町だ。

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