午前10時18分、自宅を出発。
川沿いの裏道を、何となく自転車ですすんだ。
今日はどこに出かけよう。
空は一面ミルク色。
気温も上がりそうになく、遠出する気にはなれない。
今日は寒さ対策の為、だいぶ着込んできた。
アウターに選んだ山用のダウンのベストはとても暖かく、直接肌に触れる部分にはメリノウールのシャツを着ているので、着心地がとてもよい。
今日は川沿いの道をそのまますすむ事にした。
しばらくは通ったことがある道だったが、その先は想像だけで道を選んでいく。
震災の影響か河川工事が多い。
家と家の間の人一人しかすすめないような道をすすんでいくと、また川沿いを走る事が出来た。
雲の合間から顔を覗かせた太陽が、水面に映ってとても美しい。
浅瀬でくつろいでいた白鷲が私に気づいて、一瞬背筋が伸びたと思ったら次の瞬間は水面を蹴って、飛んで行ってしまった。
ここに住んでいる人しか通りそうにない、車も入る事が出来ない川沿いの小さな路地。
誰にも使われてなさそうな、小さな公園を発見。
春になると見事な花を咲かせそうな桜の木があったが、どれだけの人に気づいてもらえるだろう。
袋小路の先に、パステルピンクの小さな素敵なアパートを見つけた。
自転車を止めて、2階の部屋から見える景色を想像してみる。
たぶん住んでいる人も、景色が気に入って決めたんじゃないかなと思ったりする。
気に入った景色の中で毎日の生活が出来るなんて、うらやましい。
素敵な家も見つけた。
シンプルなつくりだけど、あたりの景色ととても合っていた。
(自分だったら入り口のドアは違う感のモノを選ぶだろうな。でもこの景色にはこのドアがいいかも・・・)なんて思いながら。
玄関に猫のオブジェが見えた。
小さな路地を見つけたら寄り道しながら行くので、なかなか先にすすめない。
(あっ、また袋小路だった・・・)と思ったら、左にすすめる路地を見つけて、とても得意げになる。
昭和40年代、50年代ぐらいに建てられたと思う家もたくさんあった。
今の建物にはない、レトロな良さを感じる。
ずっと住んでいる町だけど、知らない発見がたくさんあった。
いつも車で通っていて何気なく見ていた小さな路地を、今日は散策する事ができてとても楽しかった。
しばしの現実逃避を終え、12時半過ぎに家に帰ってきた。
部屋に戻るとベットの上のシュラフの中で、ネコが寝ている。
シュラフのツルツルした生地の感じがいいのだろうか、お気に入りの場所のようである。