悪夢の様なあの日からしばらくして玄関先の花が咲き始め、ここ10年位で一番の花を咲かせた。
壊れかけた家の中から少しづつ必要なものを運び出した。
花が全て散ってしまった頃、家の解体時期が決まった。
玄関先のツツジも新たな場所に植え直し、これをもって全ての作業が完了した。
先日から業者による家屋内のモノの分別が始まった。
あと何日かのうちに重機による本格的な解体が始まるだろう。
梅雨が明けてから、暑い日が続いている。
全ての窓とドアを外された家の中に心地よい風が通っていく。
あとしばらくしたら壊されてしまうなんて嘘のよう。
家 / ユニコーン
役所の人が現れて 親父と何か話してた
僕らの家はじゃまになるらしい
これで道路も広くなる 町のためさしょうがない
新しい家に住めることだし
僕らの家が新しくなる
僕らの家は新しくなる
生まれる前からここにある 昔は何色だったの
ボロボロだからみんな捨てようか
いすも机も柱も壁も
僕らの家は新しくなる
僕らの家が新しくなる
僕らの家が新しくなる
いすと机と柱と壁と
僕らの家はアスファルトの下
見知らぬ場所に座ってる 慣れないドアのそいつは
コンクリートでじょうぶな奴だよ
関心空間が終わってしまう・・・
インターネット上の思い出の品はどうやって運びだせばいいの
新しい住まいはどうすればいいの
今までの思い出はどうなってしまうの
みんなとのお別れの挨拶はどうすればいいの