ザクッ!ザクッ!ザクッ!
落ち葉が幾重にも積み重なった道を歩く。
「久住山で今年の初雪が確認されました。去年より10日程早いようです。」
先日ラジオを聞いていたら、そう話していた。
終末を待たずして、山に出掛ける。
朝早く目覚め、車の外に出て山を見上げると頂付近は白く色付いていた。
60L以上の容量を持つザックを満載にし、靴紐を強く結び歩き始める。
森の中では、広葉樹はそのほとんどの葉を落とし、冬に備えていた。
所々に雪が残っている。
登るにつれ、道は葉っぱから雪へと変わる。
ザックッ!ザックッ!
ズズッ!ズズッ!
キシュッ!キシュッ!
キュッ!キュッ!
いるんな音が聞こえてきた。
森の中を2時間ほどかけて散策し、キャンプ場に着いた。
先程すれ違った方から「昨日は3張りあった」とは聞いてはいたが・・・。
今日は誰もいなかった。
「今日は貸切?」
草木も眠る丑三つ時、凍りついたテントから外の草原に出てみた。
風は無くとても静かだ。
見上げると満天の星空。
昼間は深い緑色していた山々は今は黒色と変わり、とても近くに感じる。
こちらに向かって来るような迫力だ。
草原の真ん中に立って、360度見渡してみる。
遠くに山小屋の灯りが見えるだけで、それ以外に人工的なものは何も見当たらない。
無数の星たちががわずかに辺りを照らしてくれている。
凍てつく様な寒さだけど、風は無く穏やかな夜だった。