夏が来た。

午前6時30分、長者原から歩き出す。

朝日を浴びる三俣山を左手に、少しづつ標高を稼いで行く。

くじゅう連山の中でも一番好きな山の一つ。

この山は登るよりも、眺めているのが好きな山。

存在感があって抱かれる感じがする。

今日はどの頂にも登らない。

先日中岳の下りの際に転んだ場所までいく。

不安定見える岩肌にハシゴが掛けてある。

ハシゴを下りてすぐの地面に、トレッキングポールの先端の部品が突き刺さっていた。

どうやらここで転んだらしい。

2回転したように感じていたが、その先で道は大きく曲がっていた。

もう1回転していたら、道から反れた体はさらに宙を舞って大怪我していただろう。

元の場所まで引き戻そうとするが、足がすくんでしまう。

雨が続いたせいか、浮石が多い。

登りはじめに見た小さな雲を再び見たら大きな塊になっていた。

これから法華院温泉まで白口谷コースを使って下りる。

初めてのルートは不安や緊張が増す。

途中ですれ違った人から一部崩壊した場所があり、迂回ルートの指示あると教えてもらった。

迂回ルートに出る前にも、通行に注意しなければならないような場所がある。

どうもこのコースは崩壊の一途をたどっているようで、あまり使われていないようだ。

途中で大きな崖崩れが起きた場所に出くわした。

どうやらここで迂回するようだ。

ルートから外れ、沢まで下りて行くが、ここまで崖崩れの際の大きな岩が転がってきてる。

岩から岩へ移動するが、両手を広げた位の大きな岩が動いたりする。

もしこんな大きな石が動き出したら、一溜まりもない。

気持ちを張り詰めて少しづつ下っていった。

1時間位の区間だったが、気持ちも体もグッタリ・・・。

沢の冷たい水に頭を浸けて、緊張を解いてやった。

今日の法華院温泉も貸し切り状態だった。

湯船から上がり、外のデッキで伸びをする。

目の前には坊ガツルの大きな湿地帯が広がっている。

さっきまでの緊張感からすっかり開放されて気持ちがいい。

デッキで太陽の光を浴びながら、素っ裸で太陽礼拝を行なった。

可笑しいと思いながらも、そうしたくなる気分。(笑)

夏が来た。の画像

夏が来た。の画像

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