今から十数年前、当時贔屓にしていたレコード屋さんの全てのレコードが、一夜にしてコンパクト・ディスクに切り替わるという事件があった。
切り替えに関してはお店の方から告知もあったし、メーカーもこれからの音源はCDでリリースする事を云っていたので、頭の中では解ってはいたのだが・・・。
当時、CD発売に関して、その素晴らしさは至るところで伝えられていた。
音が素晴らしい、取り扱いが簡単、半永久的 etc・・・
ただ個人的には反対だった。
それは名称の由来ともなるそのコンパクトさにある。
確かにいい事尽くめの様に思われるけれど、実際CDを初めて見たときは、聖徳太子のお札がこども銀行のお札に切り替わった様な衝撃を覚えた。
レコードを買って小脇に挟んで歩くあの感じ・・・(あぁ、早く家に帰って聴いてみたい!)。
ターンテーブルに乗せて、アームが動いてカートリッジがレコード盤に下りる時のワクワク感・・・(どんな音が出てくるんだろう?)。
そんなものすべてがなくなると感じた。
まだ欲しいレコードは山ほどあったのだ。
当時はお金もそんなに持ってなかったし、月に買えるレコードといったら2・3枚程度。
輸入盤も買っていたけど、できればライナーノーツや歌詞が載っている国内盤がいい。
でも、とてもじゃないけど間に合わない・・。
そしてレコード屋さんでCDに切り替わった棚を見て、呆然とした。
その後しばらくCDを買うことはなかった。
意見の合う友だち数名と「絶対にCDは買わない!」とも言ってた。
・・・しかし、問題が出てきた。
新譜がCDでしかリリースされなくなったのだ。
これには非常に困った。
輸入盤という手もあったが、今と違って当時は取り寄せに時間がかかる。
苦渋の決断の末、CDを買った。
初めて買ったのは、確かキンクスの新譜だったと思う。
そしてその時、こう思った。
(すごく便利じゃん♪何で今まで買わなかったんだろう?)
後で友だちに聞いたら、みんなも同じ思いをしたそうだ。
それからCDは増え続け、今ではそういったレコードに対して、圧倒的な量となった。
ただレコードで買ったものを、CDでまた買うといった事はあまりなかった。
聴きたい時はターンテーブルに乗せればいい、そんな感じだったが実際は利便性のいいCDばかり聴いていた。
そして今、音楽はiPodが中心となっている。
それに伴ってアナログ盤のデジタル化が急がれるが、時間も掛かる作業だ。
最近は手っ取り早くCDを再購入している。
それに伴って、いろんな事も経験できた。
アナログとデジタルの音の違い。
CDとレコードのメリット・デメリット。
いままで人から聞いたり、雑誌で目にした記事の内容を、自分の耳で確認できた。
これによって、いままで疑問となっていたモヤモヤが、スッキリした。
昨日Led ZeppelinのPresenceを買ってきた。
レコードで持っているものを、紙ジャケで買うのもどうかと思ったけども、実際比較してみるのも面白いと思う。
そして久しぶりにレコードを棚から出してみると、またジャケットにシミが出来ていた。
( ̄◇ ̄|||)・・・
次はレコードで聴こう♪